(2) 国防総省としての取り組み
アメリカ国防総省ではCALSの検討のための委員会を設置し、正式にCALSを推進する体制を整え、具体的な情報交換のルールが制定された。
1984年、アメリカ国防総省と民間防衛産業の関係者で委員会を設置し、「コンピュータ技術を利用して、コストを下げながら兵器の品質を向上させる方策」について検討を開始した。その報告書を受けて1985年にウイリアム・タフト国防総省副長官がCALSに関する覚書を発行し、CALSは国防長官事務局が正式に推進することとなった。
タフト副長官が覚書を出した当時、国防総省が考えていたCALSの課題は3つあった、
・技術情報データベースを統合することにより品質の向上を図る
・紙や重複したデータ作成作業の廃止によってコスト削減を実現する
・オンラインによる調達で産業界の反応が早くなり、設計・開発・製造に必要な時間が短縮できる
国防総省内にはCALS政策課という専門部署が設置され、それと同時に、アメリカ防衛産業協会(NSIA)の支援のもとCALS・ISGというCALS推進コンソーシアム(団体)が民間企業によって設置された。又、1986年には官民の代表による最初の会議が開かれた。
こうして1980年代の後半には、CALSに必要となる情報交換のルールづくりが、軍用規格である「MIL規格」を中心として次々と制定され、アメリカ陸・海・空軍でCALSのプロジェクトが立ち上がり、CALSによる効果は実際に認識されていった。
表3−3に、CALSの進展の経緯を示す。
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